脱いだ靴下を、その辺に放り投げること。
実はピーマンが嫌いで、チンジャオロースはたけのこと肉ばっかりつつくこと。
(ちなみにこれは、ピーマンの肉詰めも同じ。)
朝が弱いこと。
涙もろいこと。

一緒にいれば一緒にいるほど、見えてくるのは、彼の、ちょっぴり情けないところ。
私より、年上なのに。
元格闘家で、大きくて、強いのに。
彼はすごく子どもっぽくて、ちょっとかっこ悪い。

(…どうなのよ?それって)

食後のお茶を飲みながら、ソファで眠りの船をこぎ始めた彼に、チラリと視線を向ける。
ううん…夢の世界に半分、いや、8割。
身体を持っていかれた祥行さんの口からは、寝息が漏れている。

「もう、風邪引くわよ」

私はグチグチ言いながら、ブランケットを彼の肩にかけた。
本当に、子どもみたい。
どうなのよ?これって。

「ううん…明里ちゃん…」

不意に、彼の寝言が聞こえた。
思わず振り返れば、その顔は、笑顔の寝顔。

まあ…

(まあ、幸せ、だけど)

彼は私の前で、どんどん情けなくなっていくのに。
私の顔は、信じられないほど熱を持っていて。
そして、信じられないほど、緩んでいた。





END